西加奈子の圧倒的な傑作「サラバ」この感動に包まれて欲しい。

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サラバ! | 西加奈子


49歳 | 女性 | パート・アルバイト | 花

西加奈子さんの小説を知ったきっかけはこの「サラバ!」を又吉直樹さんがテレビで紹介していた事がはじまりでした。
多くを語らず紹介されていた「サラバ!」ですが、世の中の大半の人が感じるであろう自分自身とは何者なのか?
という疑問を圧倒的な文字数で完膚なきまで説得してくれる小説なんです。
主人公の家族父・母・お姉さん・主人公・お手伝いさん。
海外に住んでいるところから始まり、成長して日本に帰ってくるんです。
そこから、姉の様子がおかしくなっていくのですが読み手側からしても何の意味があるのか本当に分からない奇々怪々な行動の連続なんです。宗教家のようになったり、変な絵を描き続けたり、変な物になったりと暗く陰気で主人公を苦しめていくのです。
ここからどうなっていくんだろう?と先が気になって上下巻を一気読みしてしまうほど。
物語が佳境になると、姉は朗らかで陽気な人間になっています。
自分が何者かなんて自分で決めればいいの。
そう言う姉に、感情の行き場を失う主人公はかつて見た不思議な光景を見る為に幼少期の幼馴染に会いに行きます。
言葉も通じない幼馴染。しかし、友情は確かにそこにあって二人で叫ぶ「サラバ!」
このシーンは感動です。そして、彼は今まで人のせいにしてきた自分を捨てて自分を作りなおす事にするのです。
この本以降、西加奈子作品に没頭したのは言うまでもありません。