とあるコテージの「忘れられた花園」には、幾重もの秘密がありました。

おすすめする本

忘れられた花園 | ケイト・モートン


24歳 | 女性 | パート・アルバイト | 海原

オーストラリアに住むネルは、20歳の誕生日を機に人生が一変します。
今まで育ててくれた両親と血縁関係にないと教えられたからです。
そこからネルは自分の生い立ちを知ることを目的に生き、彼女の見つけた真実をカサンドラに託します。
カサンドラに遺されたのは、ネルが養父母と出会った際に持っていたトランク。
ネルの手記。
ネルをオーストラリア行きの船に乗せた、お話のおばさまと呼ぶイライザの存在。
イライザが著者のお伽話の本。
イギリスに建つコテージです。
カサンドラは遺された物たちからネルの出生と、ネルの本当の家族の隠された秘密を図らずも明かしていきます。
実はネルの本当の名前や家族の名前などは、ネル本人が生きている間に見つけていました。
しかし新たな疑問や疑惑が次から次へと生まれます。
これで謎が解けたと思いきや、実はそれすらも間違いだったり、また衝撃の事実が明らかになっていったりします。
この連鎖は、皆それぞれ抱える欲望が生み出した歪みです。
どうしてこうなってしまったんだろうと、登場人物以上に頭を抱える自分がいました。
それでは幸せになれない、止めて止めてと思いつつ、真実を求める気持ちが、文を追う目とページをめくる手を進ませます。
最後に読者だけが知り得たことを、きっとネルに伝えたくなると思います。