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容疑者Xの献身 | 東野圭吾
27歳 | 女性 | 会社員 | 半田ふみ
この作品は、東野圭吾の探偵小説「探偵ガリレオ」シリーズの3作目にあたります。さらに、ガリレオシリーズ初の長編作品でもあります。
私が最初にこの作品に出会ったのは、映画館です。私はガリレオシリーズにドラマから入ったタイプなので、純粋に、好きなドラマの映画化作品だから観ておくかぁ、くらいの非常に軽い気持ちでした。
しかし結果的に、私は映画館で大号泣してしまいました。映画を見て、あんなにも咽び泣いたのはあの時しか思いつきません。そこで私は「ミステリー作品とは、ここまで深いものなのか」と感動し、原作小説にもハマったのです。
そしてついに原作の方の「容疑者Xの献身」を読んだとき…私はやっぱり大号泣しました。この原作にして、あの映画あり。と思わせるような凄まじい作品でした。
まず、物語の初っ端から素晴らしいということを改めて思い知らされます。最初から、殺人のシーンから始まるのです。殺害の動機も手段も丸わかり。しかし、その殺人を巧妙に隠ぺいする、天才数学者・石神の存在が、この作品の大きなカギになってきます。
彼はこの作品の探偵役・ガリレオこと湯川と、お互いの才能を認め合った人間なのです。
そして、だからこそ、この事件に関わることになった湯川の苦悩はどんどん深まっていきます。彼の心情が、終始あくまで第三者目線でしか語られないところが、かえって読者の胸を打ちます。
いつ思い出しても、胸が締め付けられ、目頭が熱くなるクライマックスは必見です。