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クリスマスに少女は還る | キャロル・オコンネル
52歳 | 男性 | 自営業 | ダディベア
紹介するのは「クリスマスに少女は還る」、キャロル・オコンネルの傑作です。
少女誘拐殺人事件を、解決を図る警察側と、誘拐された少女本人、両方の視点から語られるのですが、陰惨な事件ながら、とても優しい世界観で描かれます。言ってる意味がわかりませんか?読めばわかります。
例を挙げるならば、被害者の母親が警察の捜査本部を訪れるシーン。
心配のあまり半ば気の狂ったような状態の彼女に、事件現場の写真を見せないよう、警察官たちが必死に隠します。泣きながら。
そして、ストーリーの重要な軸、誘拐され監禁された少女と、彼女を助けるべく、監禁場所に一緒に居続けるもうひとりの少女の物語。
ふたりの友情が育っていく様と、互いを思いやり、勇気づけあうシーンは涙無しには読めません。
そして最後、クライマックスで判明する衝撃の事実。
猟奇事件を扱ってはいますが、グロテスクなシーンや虐待の描写はほとんどありません。
また、ミステリーやサスペンス、謎解きの要素はありますが、基本的に救済がテーマです。犯人以外は救われるので、嫌な気分にはならないと思います。
感動したい人、号泣したい人、物語の途中で胸を痛めるでしょうが、優しい読後感に包まれて、その夜はぐっすり眠れるはずです。