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血と骨 | 梁石日
35歳 | 女性 | 自営業 | あやこ
何度読んだか分からないくらい読み込んでおります。大阪猪飼野の出身の在日コリアンである梁石日さんの半自伝的な作品です。主人公の金俊平は済州島から15歳で大阪に君が代丸で渡ってきた在日一世です。
この金俊平は、極道も恐れる無頼漢で、身長183センチくらい、体は傷だらけです。済州島にいたときに頭突きを体得しています。金俊平は、猪飼野でかまぼこ職人として生計をたてていましたが、同じ在日一世の英姫と結婚します。英姫は岸和田の紡績工場で勤務していたが私生児を出産、その後どぶろくなどを作って飲食店をやって暮らしていました。金俊平は英姫に暴力を振るいます。英姫は金俊平のせいで散々辛苦を舐めます。
梁石日さんは、この二人の長男、正雄として登場します。
正雄にも散々暴力を振るい日に日に正雄は父親金俊平への恐怖と憎しみを増幅させていきます。
ある日金俊平は、かまぼこ工場を立ち上げます。そして大成功し、大金を蓄えます。しかし正雄や英姫にはビタ一文お金を使おうとしない金俊平。しだいに金俊平は愛人と暮らすようになり家族とは疎遠になります。
ひたすら自分の欲望を満たすことだけに邁進し、家族を愛そうとせず犠牲にする金俊平。戦中戦後の大阪猪飼野の様子なども詳細に描かれており非常に面白い作品です。