みなさまこんにちは!
前回、遺言書は作成したほうがいいのかをご紹介しました。
【関連記事】「遺言は作成したほうがいいの?遺言書作成を税理士に依頼をするメリット」
「遺言書は自分の思いを紙に書くだけで大丈夫でしょ!」と思われている方、遺言書にも種類があります!
遺言書は、形式など法律によって厳格に定められているため、きちんと作成しないと無効になる場合も考えられます。
亡くなった後に、家族間で争いやトラブルが起こらないように、遺言書の作成は正しい知識を持ち、最適な遺言書の種類を選ぶ必要があります。
今回は、「遺言書の種類と自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット」をご紹介します。
目次
遺言書には大きく分けて3種類ある
普通方式遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類あります。「特別方式遺言」という特殊な遺言書もありますが、一般的に作成するのは普通方式遺言です。
自筆証明遺言のメリットとデメリット
「自筆証書遺言」とは、全文を自筆で書き上げる遺言書のことです。
遺言書と聞くと、多くの方が思い浮かぶのは、自分で書いた自筆証書遺言だと思います。
自筆証書遺言は、他の遺言に比べて費用も手間もかからないため、最も気軽に作成できる形式のものです。
自筆証書遺言のメリット
- 手軽に作成できる
- 費用がかからない
- 法務局で預かってもらえる
自筆証書遺言のデメリット
- 無効になる可能性がある
- 家族間のトラブルになりやすい
- 紛失してしまうリスクがある
- 発見されないリスクがある
- 隠蔽・破棄・変造されるリスクがある
私の余談
私の祖父の遺言書は、自筆証書遺言でした。
相続についての業務は、事前に税理士に依頼をしていましたが、遺言書は自身で作成をしていたようでした。本などに記載されていたテンプレートなどを使って作成したものと思います。
きちんと保管ができておらず、発見したときには、紙はボロボロになっていました。自筆証書遺言は簡単に作成はできますが、記入の仕方によっては無効になる可能性が高いことや、紛失などのさまざまなリスクがあると感じました。
相続税については、こちらの記事を併せてご覧ください。
【関連記事】「相続税申告に税理士は必要?」
「公正証書遺言」のメリットとデメリット
「公正証書遺言」とは、公証人に作成してもらう遺言書のことです。
公正証書遺言のメリット
- 公証人に関与してもらうため、無効になりにくい
- 家族間のトラブルや争いになりにくい
- 公証役場で原本保管してくれる
- 文字を書けなくても作成できる
- 紛失・隠蔽などのリスクがない
公正証書遺言のデメリット
- 費用がかかる
- 証人2人が必要
- 手間がかかる
証人は誰に頼めばいいの?
公正証書遺言を作成するには、作成に立ち会ってくれる証人2人が必要です。
以下の方は、証人にはなれませんので注意が必要です。
- 未成年者
- 推定相続人
- 受遺者
- 推定相続人の配偶者や直系血族
- 受遺者の配偶者や直系血族
秘密証書遺言のメリットとデメリット
秘密証書遺言とは、遺言内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。公証人、証人、相続人含め、本人以外内容を見ることができません。ただ、実務上はほとんど利用されていません。
秘密証書遺言のメリット
- 誰にも遺言の内容を知られない
- 文字をあまり書けなくても作成できる(署名と押印だけ自分で行えば、ほかの内容はパソコンや代筆で作成が可能)
秘密証明遺言のデメリット
- 無効になりやすい
- 紛失・隠匿のリスクがある
- 発見されないリスクがある
- 検認が必要
- 手間や費用がかかる
- 証人2人が必要
遺言保管制度とは
「遺言書保管制度」とは、法務局が遺言書の原本を保管してくれる制度です。自筆証書遺言は自宅で保管する方が大半です。しかし、自宅で保管すると、遺言書の紛失、相続人などによる遺言書の隠匿や変造、破棄のおそれや遺言書を発見してもらえないおそれなどの数々の問題がありました。
そのため、令和2年7月から、法務局が遺言書の原本を保管してくれる制度が始まりました。
「遺言書保管制度」を利用するには、手数料3900円がかかります。
自筆証書遺言が無効になりやすい理由
自筆証書遺言は、その形式が法律によって厳格に定められています。
具体的に、民法968条1項により、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています。
それに反している場合は無効になります。
自筆証書遺言は、誰でも簡単に作成できますが、第三者によるチェックなどもないため、十分な判断能力がないままに作成されてしまう事例もあり、無効になりやすいのです。
遺言書を作成するなら公正証書遺言がおすすめ
自筆証書遺言は作成にかかる手間が少なく、費用もかからないというメリットがありますが、所定の要件を満たしていないと無効となる場合があります。遺言書を作成するなら、内容の不備により無効になることが少ない、公正証書遺言の作成がおすすめです。
ご自身の思いをきちんとご家族へ残せるように、遺言書の作成をアドバイス・サポートを専門家に依頼を検討しましょう。
まとめ
遺言書の種類や自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のメリット・デメリットについて、ご紹介しました。
遺言書は、簡単に作成できると思われがちなのですが、要件を満たさないとせっかく書いた遺言書が無効となってしまうので注意が必要です。
遺言書の作成については、相続問題に詳しい税理士に助言やアドバイスをもらわれることをおすすめします。