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冷たい校舎の時は止まる | 辻村深月
25歳 | 男性 | 会社員 | cwy.zaih779
この本を購入したのは私が高校生の時でした。本屋の中で文庫本コーナーを物色している際に一際目を引いたタイトルで、気づいたら手に取っていました。どこかで見たことのあるタイトルだと思ったら「四月は君の嘘」の作者である新川直司先生がこの本のコミカライズをしていました。
あらすぎを読み、面白そうだと思って即購入。上下巻に分かれているこの本は上巻だけでも591ページあってとても分厚いです。
ですがいざ読み始めてみればそのページ数の多さも気にならないくらい、物語に引き込まれてしまいました。
雪の降り積もる真冬のある日、学校の校舎に閉じ込められてしまう男女8人の高校生たち。その状況だけで不穏な空気が漂いドキドキしてしまいます。しかしその特異な状況とは裏腹に辻村深月さんの書く文章はとても優しいです。心理描写もとても綺麗で物語の登場人物である彼らの喜怒哀楽が身近なものに感じれると思います。彼らの不安や悲しみや悩みはきっと誰しもに覚えがあるものだと思います。
きっと辻村深月さんは自分の理解者だと、錯覚してしまうことでしょう。
この作品は第31回メフィスト賞を受賞し講談社から出版されました。小学校の頃から物語を書き続けている辻村深月さん。
この賞に応募した理由はこんなに多いページ数を受け入れてくれるのがメフィスト賞であったことと、大ファンである綾辻行人さんの「十角館の殺人」と同じレーベルで出版したいという思いがあったためだったとか。
ペンネームである「辻村深月」の「辻」は「綾辻行人」の「辻」からとったらしいです。
彼女の作品は一読する価値ありです。人生観がきっと豊かになると思います。