\ ホームページとデザインやってるよ /

極限状態で行われる思考実験の雰囲気こそが面白い

おすすめする本

なれの果ての僕ら | 内海八重


32歳 | 男性 | 自営業 | 電気イルカ

楽しいはずの小学校の同窓会が、突如ある人物によって恐怖の思考実験の場に変わってしまうという衝撃のストーリーが特徴です。
この思考実験では、人間の善性を試すということが言われており、友情や絆などがあれば問題ないと言えるルールになっています。
しかし、自分たちの命がかかわっているという極限状態で行われるため、当然友情や絆を優先するわけではなく、むしろ他者を裏切るような手段をとってくる人間も含まれています。
裏切った方が有利になるような巧妙なルールになっているので、どうしてもそういう状況が生まれてしまうのです。
そんな中で、こんな思考実験を無理やりやらせている人間に対してではなく、足を引っ張る者を責める、仲間割れになるという状況が生まれていきます。
本来の敵はこの思考実験を企画した人間のはずですが、参加者はお互いに敵同士だといがみ合うような構図が出来上がってしまうのです。
こんな場に自分がいるという想像はなかなかできないかもしれませんが、仮に自分がこんな場にいたら、彼らと同じような行動をとってしまうのではないか?と感じられ、妙にリアルな雰囲気もあります。
そういったところも含めて、非常に面白い作品だと感じます。