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ジヴェルニーの食卓 | 原田マハ
25歳 | 女性 | 会社員 | こま
ジヴェルニーの食卓は、マティスやピカソ、モネなど名だたる画家が登場します。
最初の章の「うつくしい墓」で、マリアという女性からの視点で描かれたお話は、とても優雅で切ない気持ちになりました。
画家という生き物はどんな生活をしていて、あの有名な絵を描いた背景にはどんな物語があったのか。
そんなことを想像しないではいられません。一番胸を打たれたのは、アンリ・マティスのお話。
マティスという画家のことを好きにならざるを得ませんでした。
画家という生き物の視点をはじからそっと覗かせてもらうような気持ちで読みました。
マティスと対面した時の、マリアの緊張感。読んでいてもピリピリとこちらへ伝わってくるかのようで、
背筋が伸びてしまいました。無造作におかれたようで、実は計算し尽くされた構造を持つ芸術家の視点の繊細さとうつくしさに惚れ惚れです。
そして、「タンギー爺さん」の章も個人的には好きだと思いました。
ピサロ、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ベルナール。
才能あふれる画家たちの絵画コレクションを集め、芸術を愛した爺さんです。
その物語を息子が語っています。このお話には、心が暖かくなり、切なくもなりました。
全体を通して、ゆっくりと時間が流れるような優雅さと、胸を締め付けるような切なさがある短編小説です。