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湯浅政明監督のアニメ映画でも話題になった「夜は短し歩けよ乙女」を読んでみた。

おすすめする本

夜は短し歩けよ乙女 | 森見登美彦


37歳 | 男性 | 自営業 | みきたに

今回おすすめする本は、京都大学出身で地元京都にまつわる個性的な作品を数多く生み出してきた個性派作家森見登美彦氏による「夜は短し歩けよ乙女」です。

この小説は鬼才アニメ監督として有名な湯浅政明氏によって近年映画化されたことでも話題になりました。かくいう私も湯浅監督の以前のアニメ作品「四畳半神話大系」で森見氏のことを知り、その独特な世界観や台詞回しのファンになった一人です。

森見氏の代表作の一つである本作は、やはりそのインテリ風でありながらも怪奇や不条理をふんだんに織り交ぜた唯一無二の作風が遺憾なく発揮されています。基本の大筋自体は、冴えない大学生が一目惚れした女の子の気をいかに引くかを描いていくという、ごくありふれたもの。しかし森見氏の手にかかれば、その陳腐な題材の上に、謎の巨大車両を住処とする裏町の番人的な李白氏、煙管の煙で空を飛ぶ樋口、恋愛の願掛けのためにパンツを履き替えることを断念したパンツ総番長など、実に奇怪な人物が配置され、他ではとても読むことができないような作品世界を形作ってしまいます。

知的で洒脱でなおかつ娯楽読み物としても至極面白い。ありふれた文学作品に飽き飽きしている方は是非手にとって見てください。一度目を通せば、きっと森見氏の世界観の虜になってしまうことでしょう。