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雨の日のアイリス | 松山剛
27歳 | 男性 | 会社員 | skr
本作品はロボットと人間とが共存している世界でのお話になります。
アイリスはロボット工学博士であるアンヴレラの家出働くメイドロボットです。アイリスは博士の世話を焼きながら愚痴をこぼすも好いている描写があり、ほのぼのとした日常が描かれていたのですがあるときに博士が暴走したロボットにより殺されてしまいます。ここからアイリスの生活は一変。持ち主不在となったアイリスは管理局に送られ、結局新たな買い手が現れずスクラップにされる始末。
その後、アイリスは記憶を残したまま別のロボットへと生まれ変わり、過酷な労働作業を強いられてしまいます。
と、ここまでが大方前半部分に当たるのですが、正直世界観を漸く掴みかけた所でガラッと雰囲気が変わってしまったので初見の時は残念な思いでした。もっと博士との日常を見たかったのにと思いながらページをめくり、ここから暫く鬱々とした感じになります。それから、仲間というか共犯者を見つけたアイリスはとある事件を切っ掛けに脱出を試みます。脱走したロボットを回収しに来た追っ手から逃げつつ、アイリスはとある噴水に辿りつきます。そこには博士に似た女神像が建てられており、アイリスは死んだ筈の博士と見間違えてしまって…という結末です。女神像が博士に似ているという件は冒頭でも書かれているのですが、その伏線が最後に回収されます。感情の無い筈のロボットが主人を想い奔走する姿に泣けます。掻い摘まんで書いているのでイマイチ伝わってないかも知れないですが文章力と構成力のある本なので是非一読して欲しいです。