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時代は古くとも、描かれる世界は現在と変わらずリアルな「BANANA FISH」

おすすめする本

BANANA FISH | 吉田秋生


39歳 | 女性 | パート・アルバイト | Ns

学生の頃、いい作品だと勧められたことがあるのですが、冒頭のあたりで読むのをやめてしまった「BANANA FISH」。絵柄が好みでなかったのと、楽しいストーリに思えなかったのが原因です。少女漫画とはとても言えないものだと、敬遠しました。
しかし、あれから20年近くたってようやく、アニメ化されたと知り興味を持ったのをきっかけに再度挑戦し、見事にBANANA FISHにはまり込んでしまいました。確かにいい作品だ!と、当時勧めてくれた知人に遅まきながらも理解したことを伝えたいくらいです。
きっと、あの頃の私は、この作品の良さに気付けないほどに幼かったのでしょう。
BANANA FISHの舞台は、ニューヨークのダウンタウン。ストリートキッズのボスである少年が主人公なのですが、この少年が、今でいうならば「チート」設定ではないかというほどの天才児。そして、これでもかというほどの不幸体質――いえ、不幸何てことでは生ぬるいくらい、常に残酷な現実を突きつけられ傷つけられているような境遇を持っているのです。
そんな中で、自分とはかけ離れた生き方をしてきた、ダウンタウンに染まっていない同年代の青年と出会い、主人公・アッシュはようやく、命だとか人生だとか、他人との関係だとかを噛みしめていくのですが――育まれていく友情と同時に、大きな陰謀にも巻き込まれ、一筋縄ではいきません。
一体、二人の未来はどうなるのか、展開にハラハラしながら、また、二人の関係が切なくて胸を苦しくしながら読み進めていかねばならないこの作品。やはり、少女漫画とは決して言えません。大人にこそ読んでもらいたい作品です。
本編の最後も、それに続く番外も、号泣すること必至ですが。そのあとは、ぜひ、この世界の片隅に彼らが居たのだと思ってくれる方が増えてくれればいいなと思います。