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星の旅人 | 小前亮
41歳 | 女性 | 自営業 | ありん
歴史小説というと少し表現が難しかったり、人間関係が複雑で読むには根気が必要なものです。小前亮さんの本は、学生さん向けで史実を基にした部分と、創作の部分が入ることで分かりやすく登場人物に厚みがあります。登場人物が魅力的であっという間に読んでしまいました。
「星の旅人」は日本地図を作った伊能忠敬と一緒に旅をした少年が主人公のストーリーです。車や電車が当たり前の時代に、徒歩で旅をして地図を作るということが一体どういうことなのか、想像は出来てもどれだけ過酷なことなのかということは現代人には分かりません。主人公の少年サイドから伊能さんを描くことで、ただ「日本地図」の人だよね、ではなくてとても魅力的な人ということが伝わってきます。正確な地図を作るということは、それだけ真面目な人だということです。でも頑固すぎるわけではなく、感情で動く所もあります。学問の道の人かと思えば、大立ち回りもしてしまいます。
歴史小説というのは、史実だけではなく創作の部分が加わらないと面白くないと思います。歴史上、戦国武将など魅力的な人物はたくさんいますが、それでもエンディングに向かうとあっけないなーという気持ちがしてしまいます。伊能さんも残念ながら日本地図を完成させる前に亡くなってしまいますが、そこまではこの本では書かれてはいません。測量の旅を通して成長した主人公や伊能忠敬の息子にスポットが当たっています。伊能忠敬がわき役の小説であるからこそ、伊能忠敬自身の魅力が伝わってくる小説でした。