見ているだけで癒される路地裏の写真集「世界の路地」

開けた空や大通りも魅力的ですが、私は壁や色々なものに空や見通しが妨げられる、狭い路地裏が大好きです。
しかしこの趣向は、あまり理解する人が少ないマイナーなものだと思っていました。
そんな私が出会ったのが、PIE BOOKSの「世界の路地」という写真集。
中を開くと、世界中の路地裏の写真がページいっぱいに、鮮やかな色彩でもって掲載されていました。鑑賞の妨げにもなり得る、余計な解説なんかは一切なし。ただ、撮影場所の情報だけがそっと添えられているのみで、あとは純粋に路地裏の写真だけを楽しめるつくりになっています。
その国や地域の特徴を表した路地裏や、そこに住む人々の日常を感じさせる生活感あふれる路地裏、人によって丁寧に手を加えられた植物に彩られている路地裏や、伸び放題の草花が独特の味を醸し出している路地裏など…どれもこれもが魅力的で、ぺらぺらとページをめくっていくだけでもため息が出ます。
家の壁や屋根にさえぎられた視界の向こうに、空が見えたり、山が見えたり、川の水が見えたり、さらに別の家々が見えたり…視界が制限されているからこその魅力とワクワク感が、この写真集にはぎっしりと詰め込まれています。
これぞ、私が求めていた写真集でした。