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三島由紀夫の「春の雪」:原作だけでなく、映画版、宝塚版も一緒にどうぞ。

おすすめする本

『春の雪』(豊穣の海・第一巻) | 三島由紀夫


43歳 | 女性 | 主婦 | 檸檬

三島由紀夫は全4巻ある『豊饒の海』の4巻目を出版社に入稿した日に縦の会事件を起こし亡くなりました。その第1巻目にあたる「春の海」は本当に美しい物語です。自らの生き方も自分の美意識で演出していたかのように思える三島の最後の作品の始まりともいえる作品なので、まだお読みでない方がいるのなら読む価値は絶対にあります。
物語の舞台は明治時代末期から大正時代初期、帝国主義の足音は聞こえるもののまだ平和で華やかな上流社会。侯爵の令息である松枝清顕と、2歳年上の堂上華族の令嬢である綾倉聡子の甘酸っぱくて悲しい恋の物語です。清顕のひにくれ具合が絶妙で、何でそうなるかなと思いつつ、若さゆえかと思ったり、でも、最後はとても美しいのに悲しくて、聡子さん一目で良いからと清顕と同化して泣いている自分がいる、そんな作品です。
ちなみに、この作品はドラマ化も、映画化も、舞台化もされています。全てを見たわけではありませんが、映画化されたものでは妻夫木聡さん、竹内結子さんのもの、舞台化されたものでは明日海りおさん、咲妃みゆさんの宝塚のものが印象に残っています。どちらも映像で観られるかと思いますので、原作を読まれた後にそれらのものを見ると、原作との違いも味わえて楽しいのではないでしょうか。