おすすめする本
同じクラスに何かの主人公がいる | 昆布山葵
26歳 | 女性 | 無職 | 紫苑
いわゆる「なろう小説」と呼ばれるもの………小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された作品を原作とした本です。
主人公の二宮くんは、自称モブキャラですが、彼はクラス内に、何らかの主人公としか思えない人間がいることに気付いてしまいます。怪我も、怪人との戦いも、台詞も、全てに主人公補正が働き、違和感を感じるのは自分1人。如何にして関わり合いにならず徹底的にごく普通のモブとして存在するか、奮闘する二宮くんでしたが、現実は残酷で………。ヒロイン的存在も出てきて、彼の日常はますますおかしなことに!
そういうお話です。
まず、とにかく笑えます。テンポの良い言い回し、鋭いツッコミ。ラノベ的矛盾に対しては、特に容赦がありません。ライトノベルなどをよく読む方なら、それらの「設定」が分かるだけに、余計に面白いのではないでしょうか。
もちろん、ラノベが分からない人にも面白いと思います。何故なら、この本を私に教えてくれたのは、本は読むがラノベ系には一切縁のない、50代の母でしたから。
正直、あまりにも面白いので、外では読めません。不審者になってしまいます。
ヒロインが、ただのヒロインではないところもまた良いです。彼女も二宮くん同様、「矛盾」に気付いてしまった1人でした。ヒロインが自らのおかしなところを自ら口にしてくれる作品など、そうありません。このおかげで、面白さがさらにアップした気がします。
そして、最終的に二宮くんが、覚悟を決めたのも良かったです。とは言え、何かの能力が目覚めたりはしません。そんな流れならむしろ興醒めでした。彼は最後まで、普通の人間のまま、異常な日常に関わっていくのです。
書きたいことはたくさんあるのですが、これ以上は完全なネタバレになってしまうので、皆さんにはぜひ読んで、心から笑って欲しいです。
いろいろ大変な世の中ですが、笑いで憂鬱が吹き飛ばせますように。