まさか蚊トンボに泣かされるとは思いませんでした

自分が今まで購入した本の中でここまで期待せず、購入した本はありません。蚊トンボ白髭の冒険ってタイトルに全く魅力を感じませんでした。蚊トンボがいくら冒険したところで、わくわくするような大冒険譚も、涙が止まらなくなってしまう感動も想像ができなかったからです。しかしその期待は、良い意味で裏切られ、久しぶりに泣きながら徹夜で読みふけりました。

人間生きていれば、何かしら心に傷を負って生きているということを痛感させられるような人物が、藤原伊織さんの作品にはたくさんでてきます。そんな人間たちのドラマに、蚊トンボである白髭が全力で冒険し、生き抜くというお話です。蚊トンボですら全力で生き抜くその姿には、自分が落ち込んでしまったり、気力がなくなってしまったときに、がんばろうと本当に思える元気のでてくる作品です。
超能力がでてきたりファンタジー要素もありますが、そういうものが嫌いな方でも、あくまで人間世界で蚊トンボが大冒険はするためには必要な設定であると割り切れれば、楽しめる内容になっていると思います。題名だけみて、嫌煙してしまう方たくさんいると思います。ですが、人生に一度ぐらい蚊トンボに涙を流される経験をするためにもぜひ読んでみてください。