もう古い？そんなはずはない！もう一度読みたい書籍「ホームレス中学生」

普通に生きていて、実の父親からいきなり「解散！」と言われることがあるだろうか。当時中学生だった田村少年にはそんなことが起こってしまった。お笑い芸人、麒麟の田村裕の中学生生活〜高校生までのお話がこの本には書いてある。初めは『あれ？お母さんは？家族は？』と疑問に感じる点が少々あるのだが、読み進めていくうちにその疑問は解消される。父親に捨てられた可哀想な少年のお話かと思いきや、激貧の中で白米の味を味がなくなっても１０分以上噛み続けると感じる「味の向こう側」のお話や実姉の天然すぎるおもしろエピソードなど、声が出てしまうほど面白いだけではなくこんな考え方もあるのかと新しい視点を私に与えてくれました。ただただ衝撃的な話だけではなく、周囲の人間の優しさや母親に愛されて育った少年なんだと胸が熱くなりました。田村裕を知らない人でも、本を読む前より彼のことが好きになるはずです。
所々で田村少年が、「お母さん」を連発する理由も読み進めればわかるし、面白いだけではなく感動から溢れる涙が止まらなかったです。当時高校生だった私は、こんなに笑って泣ける本がこの世にあるのかと感じて、周囲の人に貸しまくっていたことも思い出しました。今更こんな昔の本を・・と思われるかもしれませんが、内容を知っていても何回も感動させてくれます。今、コロナウイルスでこんなことになるなんて、誰も予想もしていなかったと思いますが、こういう時にこそ「こんな人生もあるんだ」と勇気を与えてくれる素敵な本は『ホームレス中学生』意外には思い浮かびませんでした。
文章も簡単で学生でも気軽に読める本ですよ。