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あなたの人生に、鬱々としたものを植え込む本「ヒミズ」を読んで

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ヒミズ | 古谷実


31歳 | 男性 | 会社員 | HERO

「鬱々とした、後味の悪い本ない?」そんな質問を本好きの友人にしたのが、この本と出会えたきっかけでした。
この本の作者はなんと稲中卓球部の古谷実さんです。
ヒミズに関しましては、ギャグ要素は感じませんでしたが…
まず感想から言いますと、「これこれこれ!!これだよ!」と数日間引きづる感じがたまりませんでした。
ラストは期待通りの展開なのですが、幸せを掴もうとした主人公、怪物に「やっぱり、ダメなのか?」からの自殺…誰もが主人公の死を待ってしまっていたような、その結末にもちろん「なんで?」といった思いはあるのですが…
主人公の親はボート屋を経営していますが、父は金をせびりに返ってくるだけ、母は男と駆け落ち、ボート屋は借金まみれ…そんな状況でも淡々と生き、主人公には陰々滅々とした感じはありません。
私ならその時点で全てを投げ出しているか自殺しています…しかしある日、金をせびりに来た父を衝動的に殺してしまいます。
内心よくやった!と思ってしまった私自身も、怪物に取り憑かれていたのかもしれません。
誰もが感じたことはあると思うのですが、中学生頃の思春期に「自分は何者なんだ?」とか「進路を決めなくちゃ…」などのモヤモヤ悶々とした、答えのない悩み
そんな悶々とした悩み、いい人間と悪い人間の紙一重さを思い知らされる、そんな鬱々モヤモヤな素晴らしい本でした。