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女王の花 | 和泉かねよし
39歳 | 女性 | パート・アルバイト | sn
好みな絵柄なので、前から気になっていた作品なのですが、後回しにしてしまっていた漫画「女王の花」。コロナでおこもりになったステイホームでようやく順番が回って来て一気に最終巻まで読んだのですが…何度泣いたことでしょうか。ここ最近では、漫画でここまで泣きまくったことはないくらい、アラフォーの胸にもグッとくる少女漫画でした。
お話の主人公は、後宮の片隅で病がちな母を守るために小さな体で必死に生きている女の子・亜姫。そして、もう一人の主人公が、そんな彼女のもとにやって来た、異国の血をもつゆえに疎まれ奴隷となっていた少年・薄星。
「女王の花」は、幼い二人が出会い、共に成長し、やがては一国の王となる道を進んでいくお話です。
最初は、健気なふたりが可愛くて、まっすぐ元気に育っていく姿が微笑ましくて仕方がないのですが…話が進むごとに厳しい現実に晒され、追い詰められていく様子に胸が詰まります。
一国の王の娘として、そして母親の敵を討つべく突き進まねばならない亜姫が背負うものがあまりにも大きく、まだ十代の少女に与えられた苛烈な運命が苦しくて苦しくて堪りません。
そんな亜姫を支える薄星もまた、ただ一人の少女として亜姫を手に入れたい思いを押し殺し、亜姫が亜姫であるべき姿を見失わないように支え叱咤し続けます。
時には、初心な少年少女の顔を覗かせ、不器用な恋をし、唯一無二な存在と確認し合い、これ以上ないくらいの幸せを見せてくれる二人ですが。それも、短いひと時のみ。信頼し合い、手を取り合うピュアな二人に胸をキュンキュンさせたかと思えば、すぐにやるせない現実に涙をこらえきれずに流してしまいます。
いったい、読み終えるまでに何度泣いたことでしょうか。
苦しくて、悲しくて、辛くて…。けれども、嗚咽を噛みしめなければならないほどのめりこんでしまう作品に出会えることは幸せだとも言えるのでしょう。
出会えて本当に良かったとおもえるお話です。