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食っちゃ寝て書いて | 小野寺史宜
56歳 | 女性 | 主婦 | まゆ
50代で独身でワンルームに住む作家である横尾さんと、編集部で働く30代の井草菜種の物語が交互に視点を変えて描かれています。
横尾さんは1冊だけ映画化された作品を持っているが、なかなかヒット作に恵まれない作家です。
2人は作家と担当編集者として出会います。
横尾さんが菜種の人生に興味を持ったことで、彼を主人公にした小説を書くことになります。
横尾さんのすごい所は、書くことだけを優先させてここまで作家の仕事を続けてきたことだと思うんです。
1つだけヒット作を持っているけどその後は売れてないのに、本を何冊も出版してもらえるという事は、すごい事だと思うんです。
作家になるしかなかったと横尾さんは自分の事を言うけど、50歳まで貪欲に小説を書くことだけを考えて1人で生きていくというのは、誰でも出来る事ではないと思います。
本人は自分の事を成功者とは思っていないけど、同世代の私から見ると好きな事を仕事に出来た成功者であり、こんな生き方もあるのかと感じました。
編集者の30代の菜種は、実家が病院だったので医学部を受験するも不合格になってしまします。
浪人するのは嫌だったから、受かった文学部に入学するんです。
この人のすごい所は、立ち止まることなく、どんどん突き進んでいくところです。
医学部が駄目なら文学部に入学し、ボクシングに興味を持つとジムに通いだすんです。
プロにはなれなかったけど、編集者を目指して出版社に入社してしまうんだからすごいです。
編集者としてヒット作を出せずに悩んでいますが、競争に勝って編集者になっているわけだし、何より人を怒らせたり嫌な気分にさせない性格というのは才能だと思います。
私がもう一つ気になったのが、横尾と同級生の弓子の関係です。
お互いに居心地の良い関係でありながら何十年も男女の関係にならないのは不思議なような気がしますが、弓子がガンになっていたことを告白する事で2人の関係が動き出します。
弓子にプロポーズする横尾だが、けっきょく永久保留になってしまうんです。
でもきっとこの先、2人には今までと違う未来があるのではと、そこも知りたかったなと思いました。
食うと寝るともう一つ大切な事があるんだと感じました。
読み終わって自分のこれからの人生について考えてしまいました。
素敵な本に出会えました。