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スウィート・ヒアアフター | 吉本ばなな
24歳 | 女性 | パート・アルバイト | ももずく
『スウィート・ヒアアフター』は生と死・出会いと別れについて悩んでいるすべての人に向けた癒しの長編小説です。
この作品は、彼とドライブ中に事故に遭い、自分はおなかに穴を開けるという大けがをしたものの生死の狭間から生還し、失われてしまった彼の命に対して深く思い悩む女性・小夜子の視点で描かれた作品です。
小夜子は、死の淵から生還した代わりに人には見えないものまで見えるようになってしまいます。
自分の魂がどこか遠いところに行ってしまったかのように感じ、茫然自失となっている小夜子が、ある日偶然出会ったのは青年・アタル。
アタルとの出会いが、小夜子の止まってしまっていた時間を取り戻すきっかけになっていきます。
小夜子が作中でだんだんと回復し、そのたびに物事について新しく発見したり感動したりする描写には、思わず読者の私まで心が洗われていくような感覚に浸れ、読んでいくうちにどんどん引き込まれていきました。
小夜子がどのようにして自分という存在を取り戻すのか、小夜子とアタルの恋はどうなるのか、というところに注目して読んでも面白い作品ですし、パラパラとページをめくり自分自身に刺さるような言葉を文中から探していくのも面白い作品です。
ぜひ、人間関係につかれてしまったとき、だれか大切な人との別れがあったとき、過去のことを引きずってしまっていると感じるときなどに読んでみてほしい作品の一つです。