幻想文学大賞を獲った「白い果実」はめっちゃ面白かった。勇気が湧いてくる。

この本は好きな山尾悠子さんという作家が翻訳をしているということで知った本でした。
読んでみてめちゃくちゃ面白かったですね。いわゆるファンタジーの世界でビロウという名の独裁者が支配する世界が舞台になっている。
ビロウの部下であるクレイが主人公なのだ。物語の世界では観相学という学問があり、人の内面は外見にすべて表れているのでその人の外見を見れば、どんな人物かが完璧にわかるというものだ。その観相学を極めた人物がクレイなのだ。
こういう独特の設定みたいなものやモチーフがちりばめられていてとても魅力的であった。
クレイやビロウなど出てくる人物も独特で癖があり面白い。クレイの心理描写もしっかりと書かれているので読んでいて自然と感情移入してしまうところが良かった。
初めは暴力的で横柄な性格だったクレイが、ビロウと仲たがいし様々な体験や出会いを経て変化していくストーリーも素晴らしかった。そして適度にユーモアがちりばめられていてクスっと笑えたり、時には爆笑したりこちらの感情をローラーコースターのように上下させてくれる。
中だるみすることもなく物語はすすみ終結するが本当に読んでよかったと思った。
一流の物語は読んだ後勇気や元気が湧いてくる。この本もそうであった。