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冷静と情熱のあいだ | 江國香織
31歳 | 女性 | 無職 | 陽子
すこし前、江國香織さんの『冷静と情熱のあいだ』を読ませていただきました。
映画になったこともあり、主題歌も白鳥マイカさんと私には親しみやすかったので、遅いですがこの度完読しました。
主人公の女性はマーヴと初恋の人とでこころが揺らぐのですが、周りからは『どう見てもパーフェクトなマーヴがいい』と言われ、納得がいかなかったとあります。思い出は美化されるというのでしょうか。
私は2人のあいだで揺れ動く主人公を嫉妬したりもせず、江國香織さんの優しい文体で読めることがなによりの幸せでした。彼女の文体に似ているとまで昔はよく言われたことがあります。
それだけ江國香織さんの文章には人を惹きつける魅力があるといっても過言ではないでしょう。
後半の流れは美しく衝動的で、まさに文章に引き込まれました。初恋の人に会ったシーンは、思わず『マーヴじゃダメだったの?!』と叫びそうになりましたが、今ではこの結末で良かったのだと思っています。
主人公自身の自我を取り戻すという意味でも、この結末は読み手にとっても良かったでしょう。まさに『冷静と情熱のあいだ』だな、と読み終えたあと思いました。とてもキレイな文体なので、受け入れることができました。今でも泣きそうです。