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44歳 | 男性 | 自営業 | イッチー
ある日突然、それまで普通に暮らしていた若者が芋虫になってしまうという奇抜なストーリーに惹かれました。
これだけでは、どんな話なのか想像できないですよね。実はこれは異形性変異症候群という奇病によるもので、引きこもりやニートなど、社会にうまく適応できない若者がかかるというのです。
人間社会でうまくやっていけず絶望した若者が、見るもおぞましい芋虫や犬、植物のような別の生物に変わってしまうことで、家族とのコミュニケーションが取れなくなり、戸籍上、人間として死んだことにされてしまうのです。
私は途中までこの小説を読んで、単に引きこもりやニートは人間として許されないからちゃんと働こうね、ということを伝えたいだけだと思ったのですが、読み進めるうちに、もっと深いメッセージがあるように思えました。
芋虫になってしまった若者の母親は、なぜこうなったのかと自分を責め、きつくしつけることしか頭になかった夫を責め、家族会に入会して周りの助けを得ながら、何かを訴える息子に日々向き合います。そういった描写が丁寧にされており、引きこもりやニートの問題は本人だけでなく、家族や社会のあり方にも大きな影響を及ぼすのだと痛感しました。
そして最後の展開は感動的で、胸のつかえが取れていくような爽快感がありました。少し強引かなと思わせるような展開でもありましたが、ファンタジーだと思って読むと良いと思います。