学生時代、こんな生活に憧れていました。「前略・ミルクハウス」

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前略・ミルクハウス | 川原由美子


49歳 | 女性 | 自営業 | liberty2

1980年代の少女マンガです。
東京の美大に通うため北海道から上京してきた18才の芹香(せりか)ちゃんが、一人暮らしのアパートを探す道すがら、とても素敵な洋館の前で涼音(涼音)と名乗る長い黒髪の超絶美人と出会うところから物語は始まります。
実はこの洋館は涼音さんの自宅。
しかも使っていないお部屋が沢山あるので「ミルクハウス」という名前の下宿屋さんを始めようと思っているとのこと。
そしてお料理の腕を見込まれ、涼音さんから、「毎日お料理を作ってくれたら家賃はいらない」と夢のような提案を受ける芹香ちゃん。ですが1つ大きな問題が。
実は涼音さんというこの美人、何と男性だったのです!
更にミルクハウスには涼音さんの従兄弟で高校生の藤(ふじ)君という男の子も暮らしています。
若い男性二人との同居に1度はお断りする芹香ちゃんでしたが、見た目も心も女性らしい涼音さんや新しくやって来た吉川教授と息子の勇君との交流を通して、ミルクハウスでの生活を開始することになります。
そしてその後新たに住人となるクラブ歌手の水城(みずき)さんも加わり、個性豊かなメンバーがそれぞれの家庭や恋の悩みを打ち明けたり助け合ったりしながら物語は進んでいきます。

洋画でしか見たことない古い大きな洋館でステキな仲間たちと暮らすストーリーに、思春期の私はとにかく憧れまくりました。フローリングの広い床に天窓から差し込む日差しで目が覚める、なんていうシチュエーションにときめかない女子っているのでしょうか(笑)?

舞台設定がまず魅力的なマンガなのですが、登場人物がこれまたみんなオシャレで可愛くて、それでいて心の奥底に秘めた悲しみもあって、それぞれが本当に魅力的なのです。
私は特に涼音さんが大好きで、まさに10代の頃はずっと憧れの人でした。女性が惚れる程の美貌を持ち、日常生活はほぼ女装で過ごしている涼音さん。しかし心の根っこは大切な人を全力で守るハンサム男子で、主人公の芹香ちゃんに対しても徹底したナイトぶりで温かく支え続けます。
普段は女装で女友達のように接しておいて、落ち込んだ時には男性として守り助けてくれる。
実は最近改めて読み返してみて、半世紀生きた今でもやはり「こんな人が隣にいたら幸せだろうなぁ」と思ってしまいました。

基本的には恋愛マンガですが、登場人物がみんないい人なので、三角関係などの展開があってもイライラやドキドキというストレスは感じません。絵もキレイなので癒される気分で最後まで読めてしまいます。
涼音さんと芹香ちゃん、吉川教授と水城さんが結婚して一緒に暮らしている設定の「続・ミルクハウス」が読んでみたいです。