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映画にもなった「さまよう刃」を読んだ感想です。

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さまよう刃 | 東野圭吾


47歳 | 男性 | 自営業 | トワイライト

寺尾聰氏主演で映画化にもなった「さまよう刃」を読んでみました。その公開当初から原作とはラストが違うと言われていたので、映画を先に見て、どのようにそれと違うのかと原作に当たるこの小説を読んでみました。

途中まではほぼ映画の通りですが、そちらでは省かれたと思われる部分まで細かく描写されており、さすがは東野圭吾氏の小説だと思わせてくれます。推理ものも多い作者の作品だけあって、映画では少し分かりにくなったシーンについてもよく分かりました。

問題のラストですが、映画では娘を殺した2人組の残りの1人を殺害しようと持ち出した鉄砲が空砲で、殺す気はなかったといった終わり方でしたが、この小説では実弾で発砲します。思わぬ邪魔によってそれが逸れたというだけで、確実に殺そうと思っての発砲だったことは明白です。このようなラストを何故空砲に変えてしまったのか分かりませんが、こちらの方が父親のしての心情がよく出ている気がしました。

尚、犯人の1人目は映画でも同様にナイフで刺し殺していますが、この小説の方ではめった刺しのシチュエーションが描かれており、映画でのそれより残忍な殺し方でした。特に鑑賞レーティングの付いていない映画だっただけに、表現的にマイルドにしたのかも知れませんが、娘を殺された父親の怒りや悲しみはこちらの小説の方がよく出ていると思います。映画の方が悪かったり、間違っているとは言いませんが、この作品は本当(原作)はこういう内容だったのかと分かって読んでよかった小説です。