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「密室殺人ゲーム王手飛車取り」現代的で、不謹慎で面白い!

おすすめする本

密室殺人ゲーム王手飛車取り | 歌野晶午


27歳 | 女性 | 会社員 | 半田ふみ

この作品は、非常に現代的なテーマで描かれたミステリー作品です。
5人の登場人物が集まるのはインターネット上。それぞれ匿名を使い、覆面などで素顔を隠しながら集まっています。
そして、彼らがおこなうのは「推理ゲーム」。ひとりずつ順番に、殺人に関する謎解きを出題し、他4人が推理・回答して答えを当て合う遊びです。
問題なのは、彼らが出題する謎解きの「殺人」が、出題者の手で実際に行われていること。
連続殺人(ただし、世間から見れば共通点がないので別個の事件として扱われている)や猟奇殺人、一見普通の(?)殺人など、そのどれもこれもが、彼ら自身が手を下したものなのです。
もちろん、彼らはそれを承知で(むしろそれをエンタメのひとつとして)楽しんでいます。
こんなことを言うのは非常に不謹慎ですが…この設定が本当に面白い。
彼らが全員、なんとなく愛着を持てるキャラクターなだけに、ただ読んでいるだけで「でも、彼らは殺人犯人なんだよな…」と読み手の中に葛藤のようなものが生まれます。
事件が実際に起きている以上、いつか誰かが逮捕されるのでは?というスリルもありますし、遊びのために殺されてしまった被害者やその遺族にも思いを馳せてしまいます。
しかし、5人の登場人物たちは、あくまで平然とした態度を崩しません。
その危うい空気感、異常な雰囲気が、たまらなく面白いのです。