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鉄の骨 | 池井戸潤
58歳 | 男性 | 会社員 | Rinne-tennsho
小説の内容は、主人公である若者が就職した中堅ゼネコンで、当初は現場監督として、職人相手に翻弄され人間関係の難しさにぶち当たり困難を極めるシーンから始まるのだけど、ある時にこの若者は異動を命じられ、その異動先が談合課と社内で呼ばれている部署だったのです。
ゼネコン工事畑から全く異なる営業職に異動となり、しかもその談合課は官公庁を顧客とする課であり、官公庁の仕事を請けるには入札制度が必須であり、その入札に関して各ゼネコンでの調整により、今回はAゼネコンが受注するように、入札したゼネコン同士が話しあい、そしてそれを纏めるフィクサーがいる。
そんな中での仕事に対し、主人公の若者がコンプラインスとの葛藤、そして建設現場とは違う人間関係の難しさ、会社の利益を交えながら、ビジネスとは?人間とは?を考えさせられる小説です。
この小説の見ごたえは何と言っても、入札談合が実際にあり、その若者がその渦中に引きずりこまれ、段々と間違ったことをしていないと考えてしまうことや、公私の私の方では彼女が銀行員であり、その彼女が勤務する銀行が彼が籍を置くゼネコンの取引先銀行であり、彼女からそのゼネコンの経営状況が良くないなど、私の部分でも人間関係の大変さを味わうこととなり、彼の心情の描写が如実に理解できるところと言えます。
実は私も建設業関係の仕事をしており、実際にこのようなことを聞いたことがあり、その時に現実としてある話しであったと過去ではありますが記憶にありまして、そうやって日本経済は活況を成したことは事実と今だから言えることです。
これが良き時代だったのか、現時代のコンプライアンス重視が全て良いのかも考えさせられた小説でした。