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中学時代の恩師におすすめされた本「青の炎」です。高校生が行う悲しい完全犯罪に涙。

おすすめする本

青の炎 | 貴志祐介


23歳 | 男性 | 学生 | ヒロイ

私が紹介したい本は、貴志祐介先生による「青の炎」です。
この本は、私が中学時代に塾の国語の先生におすすめされた本で、読んだ当時は1か月ほど作品の余韻と悲しい結末がグルグルと頭を回っていました…。
ここから先は完全なネタバレを含めて語らせてもらいます。

主人公秀一は、友達に恵まれ家族である母、妹とも良好な関係を築いていました。
そんな彼の唯一の悩みが母の元夫であり、家に居座り続けている曾根という男でした。
暴力を振るう曾根に殺意を抱く秀一でしたが、わずかに残った理性で耐えていました。
しかし、ある日曾根が妹に乱暴をするのを見かけ殺害を決意、母や妹に殺人者の家族の汚名を着せるわけにはいかないという思いから完全犯罪を行うことを固く誓いました。
まず凄いのは、ここで行われた完全犯罪のリアルさです。
現実に高校生でも容易にできる方法で、殺害時の光景がリアルに浮かんできて当時は少し気分が悪くなりました。
こういった描写を淡々と書けるのは、この作者の魅力だと思います。

しかし、この小説の本質部分はここからです。
なんと後日この殺人を中学時代の悪友に知られてしまい、それをネタに脅されてしまいます。
一度殺人をして躊躇いのなくなった秀一は、即座に完全犯罪を考え実行するのでした。
このシーンの恐ろしい部分は、以前は本当に殺していいのか長ページ葛藤する描写があったのにここではすぐに決断するところです。
明らかに秀一はおかしくなっていました…。
怒りの青い炎に飲まれていたのです。
読んでいる自分も少しづつおかしくなる秀一に、つい読む手に力が入ってしまいました。

その後、急造の計画のせいか、少しづつボロがでていき、警察にもう少しでばれてしまう状況に追い込まれてしまいました。
家族を巻き込めないと思った秀一は、ばれる前に自分の命を絶つことにしました。
死にゆく寸前、彼に恐怖などは微塵もなく、これは愛する家族のため、そして自分にとって最も楽な道なのだと思い込み、幸せなまま死にました…。
以上が物語のすべてになります。
当時の私は、彼の選択が本当に正しかったのかとても考えさせられました。
彼の家庭環境が殺意が芽生えるほど過酷だったことは間違いありません。
でも殺してしまったことは正しかったのか、何より最後に自分が死ぬ以外の選択肢はなかったのか。
いまでも何が正解なのか私にはわかりません。
それでも言えることは、この作品は私に大きな衝撃を残した作品であり、紛れもない名作だったということです。
拙い文章ですが、もしこれを読んで興味を持たれた方がいたら是非読んでみていただきたいです。